映画と現場 備忘録

しゅ〜かつの逃げ場

『21世紀の女の子』



女の子は脆くて危うくて
儚く、今にも壊れそうで
グラグラしていてめんどくさい。


それでもキラキラしているもの。
そう見えるもの。


大森靖子が肯定してくれる「あなたは特別」
わたしも21世紀の女の子でした。









観る人によって刺さるもの刺さらないものが違うのだと思う。どの物語を、女の子を特別に感じるか。何を思い、誰を想うかも。




『ミューズ』

主人公の石橋静河さんと言えば私の中でコンテンポラリーダンス。『うつくしいひと サバ?』で心を奪われました。今作も少しだけ踊るような部分があってドキドキした。

主人公が恋をしていたと気付いたのは最後だったけれど、彼女を見つめる目の愛情深さは、友情より恋愛に近いように見えました。



『Mirror』

他の作品にもカメラがたくさん登場するけれど、撮ると撮られるを通して、「こうありたい自分」と「社会から求められる自分」について考えさせられたのは新鮮でした。

パンフレットの竹内里紗監督の言葉が就活中の身に突き刺さる。他者や社会からの視線がわたしは怖いから。「自分らしく」とは残酷な言葉だなぁと思います。



『out of fashion』

モトーラ世理奈の唯一無二の存在感にどうしようもなく惹かれてしまう。縷縷夢兎のお洋服もとても素敵。

モトちゃん演じる主人公が憧れていた先輩がつまらない男になっていた、と。

好きだった人がMHL.のトートを使い出したことを思い出しました。決してそれが悪いわけではないけれど、わたしの中でその瞬間、彼は特別でなくなってしまった。

女の子が夢を持つこと、この物語だとデザイナーになることは、今でもやはり男の子より難しいのかな。結婚や出産を普通だと考えない社会になっているようには思うけど、そんな社会が誰かの夢を潰すのなら、そんなに悲しいことはない。主人公は夢みる女の子の現実も希望もみせてくれました。



『回転てん子とどりーむ母ちゃん』

フライヤーをもらった時からどんなお話なんだ? と思っていました。想像を超えたカオス空間。刺激的でした。

山中瑶子監督の言葉、「大人になるにつれての日々はちょっとずつしんどい」あなたに言われるともっとしんどいよ、監督とわたしは同い年だから。知ったものかって思うだろうけど。「あなたはいつか考えるのをやめてしまうの?」やめないと思います。わたしにもなりたいわたしが一応あって、それを考えるのをやめてしまったらわたしが可哀想だから。



『恋愛乾燥剤』

山田杏奈ちゃんを透明感の暴力と称した『ミスミソウ』の内藤監督に脱帽。透明感は彼女のためにある言葉。ケイスケカンダの制服がま〜最高。

枝優花監督の撮る自然光が好きです。クリームソーダじゃないけれど、ピンクだからなんだろ…あのシーンは『少女邂逅』をふと思い出しました。

人を好きになるということは、好きでない部分も見てしまう。ピークはきっと好きになった瞬間。もう昔みたいに本能的に、何も考えずに人を好きになることなんてできないのだろうなと思いました。



『projection』

主人公は1人でカフェにいて、映画を観るような女の子。わたしじゃん、と思う人も多かったんじゃないのかな。

わたしの知らなかった伊藤沙莉ちゃんの新しい一面が詰まっていました。ヌードもそうだけれど、弱くも強くもあるまなざしだったり、少しずつ心を開いていく流れだったり。本当に魅力的な女の子。



『I wanna be your cat』

脚本家の主人公が男に向けた言葉「だってこの映画撮ったら女優のこと好きになるでしょ!?」痛い、苦しいと思いました。創作経験は無いけれど、主人公の気持ちは分かるような気がして。失望されたくない相手がいると人は強くも弱くもなってしまうのだと思います。



『珊瑚樹』

タイトルの表す珊瑚樹とは何ぞや。調べました。初夏にたくさんの小さな白い花を開花させ、夏から秋にかけて赤く美しい楕円形の果実をつけるらしい。それを宝石サンゴに例えたのだと。それは熟すと藍黒色になる。

性同一障害の人物と、彼を好きになる少女たちの三角関係。彼女たちは外から見るととても美しいけれど、内側の心は真っ暗なのかもしれない。それでもまっすぐに「好き」をぶつける彼女たちはやっぱり美しくて、羨ましいと感じました。



『愛はどこにも消えない』

橋本愛に全世界が恋。恋する女の子を演じるあなたはどこまでも無敵です。あと曲が好きなバンドのボーカル(というか友達の先輩)でびっくりしました。ムツさんいつの間にこんなビッグになったの?

好きな人に好かれなくなっても、好きな人を好きでなくなっても、好きだったことやその時間は消えないし無駄じゃない。愛されていたことも消えない。女の子でなくてもこの物語に肯定された方はたくさんいるんじゃないのかな。

主人公の好きなヒロトくん、あまりにもサブカル女(わたし)が好きそうな男の子でふふっ、となりました。この映画に登場する男の子はそんな子が多くて、わたしもやはり21世紀の女の子なんだなと。



『君のシーツ』

1番衝撃を受けた。言葉で上手く伝えられないのがもどかしいです。

主人公は女性だけど、夢の中で男性となり、清水くるみちゃんとキスしたりセックスしたりする。水田さんに兄者〜と言ってるくるみちゃんのイメージが強くて少し気恥ずかしい気持ちでした。



『セフレとセックスレス

ラブホテルの浴槽に収まる2人の男女、という構図の画像をインスタでみて可愛いなぁと思っていました。

物語の2人もすごく可愛い。セフレという関係はきっとある1つの関係だけを意味するのではなく、2人には2人のセフレや恋人という関係があるのだろうなぁと思いました。2人がお互いにずるいなぁというラストがずるいです。



『reborn』

ちょっとあまりにも横顔が尾崎世界観でびっくりしました。ここにもサブカル女が食いつく男の子が…

わたしは自分を確かに女で、好きになるのは男だと思っているけれど、別にそれは普通でも特別でもない。1つの形。主人公はグラグラしているように見えるけど、ちゃんと芯もある女の子なのだと思いました。松井玲奈さんって強さのイメージがあったけど、アンニュイな雰囲気も合うんだなぁ…



『粘膜』

待ってました、細田善彦さん。好きなんです。どんな人物を、どんな女の子を想う、または想われる男性を演じるのだろうと楽しみにしていました。

主人公はセックスが好きだけど本当の愛を持っていない女の子。もう1人は誰かに大切にされたいけどセックスできない女の子。後者の女の子は恋人の足の指の毛の数を数える。それを知っているのはこの世界でわたしだけと考えると、それだけで生きていけると言う。

この人にとって世界でたった1人の特別になりたいと思っても、全員がそうはなれない。それでもやはり愛し合った事実は消えないとわたしは思います。



『離ればなれの花々へ』

詩なのか、音楽なのか、3人の女の子が紡ぐ言葉は単純なようで難しい。唐田えりかちゃんのかもし出す生活感のようなものが前から好きでした。儚く消えてしまいそうな彼女の魅力をまた観ることができて嬉しい。

わたしには結婚願望も出産願望も今のところ無いけれど、3人の娘を産んで育てた母親を本当に尊敬しています。母でなくても、妻でなくても、彼女じゃなくても、女の子として生きていいと肯定されたように感じました。



『エンドロールアニメーション』

実は財布に現金が173円しかなくて、パンフレットはまた後日にしようと思っていました。エンドロールの最後、映画館の座席を立つ女の子が持つ本の表紙が『21世紀の女の子』で、やっぱり買って帰ろうとクレカで支払いました。パンフレットであり写真集、たくさんの女の子について描かれ、書かれたパンフレットは今後何度も読み直すことになると思います。

大森靖子が歌う「少女のままで死ぬ」いつまでも夢をみていたい。居心地のいい場所に居続けたい。恋愛は片想いがいちばん楽しい。大人になんてなりたくはない。それでもいいと、そのままでもいいと、全てを肯定してくれるようにわたしは感じました。素敵なエンドロール。




洋服が好きな人。可愛い女の子が好きな人。女の子である自分を好きな人、あるいは嫌いな人。色々な方がこの映画を観るのだろうなと思います。多くの方に届きますように。

『にがくてあまい』

感想…というかメモ書き。

今更アマプラで観たにがくてあまい
登場シーンの渚(林遣都)、無双。この世の誰もあなたに勝てません…




原作だいぶ前に少しかじってるけど渚ってこんなに優しかったっけ? ひねくれと優しさの比率が良くて好きです。あまりにもスパダリすぎてどうにかなりそう…(どうにもならない) クズもエリートも三枚目も狂気も演じられる林遣都のスパダリ……全人類必修科目。



きゅうりパックする林遣都も白シャツで泡立て器回す林遣都もトマト握りつぶす林遣都もこれ1本でみれる。いやいやヘアバンドしてきゅうりパックて………こんな美味しい思いして良いの? こんなん白シャツ見ると林遣都の渚を思い出す呪いにかけられる…





タイトル前の野菜を切る手元を映したカットで野菜が食べたくて仕方がなくなる。あとカレー。林遣都さんほぼ0から料理を練習したらしい。渚はプロではないから,完璧ではなく,調理器具や食材,料理を愛するようにしたって所がすごく良い。ゲイに関しても「見る人が見たら分かる」という意識で日常を大切にって所がさぁ…すごい。確かに初見ただのイケメン。料理のできるイケメン。でもスープ飲んでる時の品のある所作とか,女性との距離の取り方とか,細かいところでもしや…? と思わせられる。てか名札取り返そうとしても靴履いたままだから,土足で人の家あがれないし…でジタバタしてるとこがずるい。



女性陣はマキ(川口春奈)の美味し〜って顔がほんと美味しそうで羨ましくなる。むくれる顔も可愛いなぁと思ってたらラスト10分でうぎゃーやられる。出てたの! となった松本穂香ちゃんの地方出身後輩感が可愛い。桜田ひよりちゃんはいつどの年でも可愛いね…



男性陣は上杉柊平氏! 出てたんだ…真剣佑は当時10代かな? 2016公開だからまだそんな昔でもないけどすごく若い。元気な大型犬でとっても可愛い。イケメンとか美人というよりも,可愛いな〜〜という方がたくさん出てたイメージ。多幸感が残る好きな映画。

『デイアンドナイト』


父が自殺し,実家へ帰った明石幸次(阿部進之介)。父は大手企業の不正を内部告発したことで死に追いやられ,残された家族もまた崩壊寸前であった。そんな明石に児童養護施設のオーナーを務める男,北村(安藤政信)が手を差し伸べる。孤児を父親同然に養う傍ら,「子供たちを生かすためなら犯罪をも厭わない。」という道徳観を持ち,正義と犯罪を共存させる北村に魅せられていく明石と,そんな明石を案じる児童養護施設で生活する少女・奈々(清原果耶)。しかし明石は次第に復讐心に駆られ,善悪の境を見失っていく―。



昼と夜。光と闇。善と悪。相対する両面を生きる明石の姿は幸せそうであり,苦しそうでもあり。どうしようもなく切なく見えてこっちが苦しくなってしまいました。善と悪のどちらにいるのか。正しいとは一体何なのか。明石や奈々と一緒に考え,観終わった後も考え続けてしまう映画でした。



明石は自分の父に何があったのか何も知らない状態で,父が生前何をしていて,なぜ自殺してしまったのかを徐々に知ることになります。どんどん新しい情報が出てきて,物語の展開に置いて行かれそうになるけれど,明石と同じように知っていく体験は面白かったです。













※以下とってもとってもネタバレを含みます。












明石は口数が少なくて基本的にとても穏やか。だからこそ急に声色を低くする時や,復讐相手である三宅(田中哲司)と殴り合うシーンはとてつもない気迫があって,奈々との会話シーンと同じ人だと思えない凄みがあった。こんなにも人間の二面性を演じきれるなんて…阿部進之介さんの演技を危うく知らないままでいるところでした。それはもう人生の損失。


(主演だけでなく企画と原案もされている阿部進之介さん。どんな方なのだろうと調べたら『神さまの轍』に出演されていました。え…去年ナナゲイで観たじゃん……もっと遡ると『信長協奏曲』に『十三人の刺客』,『メイちゃんの執事』…… いや覚えてるよ,もう出会ってたよ,私………)








奈々役はオーディションで500人から全員一致で選ばれたという清原果耶ちゃん。我らが果耶ちゃん。女優のお仕事を選んでくれて本当にありがとう。『3月のライオン』もそうだけれど,複雑な家庭環境を持ちながらも,清らかで強い女の子を演じる果耶ちゃんがとても好きです。

清原:今回,役作りはほとんどしていないんです。事前にいただいたキャラクターシートから奈々のイメージを感じ取ったぐらいでした。撮影時の自分が思春期だったことが影響しているのか分かりませんが,私自身のフラフラ揺れる不安定な感情が,ちょうど奈々の境遇や感情と重なるところがあったので,本当に自然と自分の中から出てきたもので演じることができたんです。

(思春期に奈々のような女の子を演じるって奇跡みたいなタイミングじゃないですか…ありがとう……)


物語の終盤,奈々は自分の父親は既に死んでいて,殺したのは北村だと,自分にはもう迎えに来てくれる親がいないことを知ってしまう。北村と相対して感情を爆発させるシーンの会話は無音。だから何を言ってるか分からないのに,どうしようもない怒りや虚しさがまっすぐ北村に向けられているのが分かって鳥肌が立った。綾野剛氏もコメントを寄せているけれど, 果耶ちゃんの演技は,まなざしは本当に映画界の希望だと思います。







他の役者さんも存在感のある方ばかりなのです。特に印象深いのが笠松将くん。この映画に関して前情報で知っていたのが山田孝之,清原伽耶ちゃん,主題歌は洋次郎ってことぐらいだったので,笠松将くんと三船海斗くんが出てきた時はびっくりしてしまいました。


笠松将くん演じる青柳は,明石も手を染めることとなる裏稼業に精を出す若者。やってることは犯罪だけど愛嬌があってニヤリと笑った顔が可愛いのです… 終盤にみせる攻撃的な表情も素敵。(今でも悪役を演じることが多いけど,将来的に波岡一喜さんのようになりそう…なってほしい……憎めないチンピラ…)



(三船くん演じる奈々のクラスメイトはとても爽やかで,アミュ繋がりだと風早くんの再来かと(笑) でも案外サイコパスとかも似合いそう。)







いちばん印象に残ったのはラスト,奈々が明石に正しいとは何かを問うシーン。明石は「大切な人を守ること」と答えます。対して奈々は「守れたの?」と。


明石は守れなかった。裏稼業の仲間たちは捕まってしまった。養護施設の経営ができなくなれば子どもたちの生活にも影響が出るだろうし,母や妹はこれからどんな目で見られるのか。


でも明石の言う正しさが正しいなら三宅も正しいことをしたと言えるはずなのです。三宅だって大切な会社や家族,顧客を守るために行動していたはずだから。地位とか名声も全然あると思うけど。それだけではなかったはず。


卒業式で娘を見て笑い合う三宅と妻が映し出されるシーンを見たとき,本当に救いが無い物語なのだなと思いました。明石の信じる正しさは社会が求める正しさではなかったのだと。昨年観劇した舞台『サメと泳ぐ』でも田中哲司さんはこんな"大人"の役だったなぁ。三宅のしたことは決して正しくないのだけど,明石の父がしたように,間違っていると声を上げる方が悲しみ苦しむ人が多くなることもある。"大人"の世界の見えない"ルール"を痛いほど見せつけられてしまいました。







"山田孝之全面プロデュース"という一文がとても強い力を持っていることがこの作品にどれだけ影響を与えるのだろうと思っていました。実際私も山田孝之への信頼と期待から,絶対に面白いものをみせてくれると感じていたし。ただ"山田孝之"というフィルターがかかってしまった状態で観ると,作品自体をちゃんと楽しめないのでは…とも思っていたのです。


杞憂でした。本当に面白くて,たくさん考えさせられて,作品の物語にのめり込んでいました。(中盤流れるアップテンポな音楽は山田孝之っぽいな〜とは思った)


制作の過程で明石の台詞は阿部進之介さんが,その他の台詞は山田孝之が全役演じてブラッシュアップしていったそうです。初稿から完成まで4年かかったらしい。ただ撮影が始まるとほぼ全ての撮影に朝から晩まで同行し,プロデュース業に専念して役者としての顔は見せていなかったと。


山田孝之は今回が初の全面プロデュース。プロデューサーとしての能力は何もないから,一緒につくっていく中で学ぶ形になってしまうけれど,影響力や人を集めることなら絶対に協力できると思って「プロデューサーとして入れてくれないか?」とお願いしたそうです。それでこんな面白い作品が出来るの,やはり期待を裏切らないのがすごい。


結果としてやっぱり山田孝之はやばい! すごい! になるのだけど,阿部進之介さんも,藤井道人監督も,清原果耶ちゃんもみんな凄かった。これ以上に心動かされる映画に今年もう出会えないかもしれないなぁと私は思いました。まだ2月なのに…







何が正しいのか,誰が正しいのか。何を信じるのか,何を守りたいのか。法律で決められたことが全てなのか。家族を守るために犯す罪は悪なのか。何も見えてないふりをして,考えないようにして過ごすことが正しいのか。たくさんたくさん考えさせられました。


良くも悪くも疲労感と余韻のある映画で私は好きでした。"こうじゃないですか?"と提示されるより,"あなたはどう考えますか?"と投げかけられる作品の在り方が好きです。またこの製作陣で映画つくってほしいな。

1月のもろもろ

1月のまとめ…と言いたいけど現場に行ってないから書くことが無かった! つらい!

◎映画


桜蘭高校ホスト部
バクマン。
エイプリルフールズ
ミックス。
シシリアン・ゴースト・ストーリー
★チワワちゃん
★十二人の死にたい子どもたち


Amazonプライムに加入したら三が日一歩も外に出ませんでした(笑) 実家に眠っていた過去のJUNON山本裕典氏を久々に見て,懐かしくなって桜蘭高校を見たり。やっぱりハニー先輩は千葉さんの専売特許。あと年末平ジェネ見たばかりだったのもあり,眼鏡ブレザーの大東さん見てわぁ……顔が良い…すごく可愛い………ティード様……?と。

新作は大好きな役者たちがとても良い役を演じてて誇らしかった。こっち優先してたらまだシュガラシュ観てないので2月の私,早急に…



◎舞台

1つも…観てないです…推しの出演作の東京公演が始まっていたので,就活で東京行くことがあれば当日券チャレンジしよ〜と意気込むも落とされまくる。大阪公演を待ちます…3月か…


(この舞台については悲しいことも。カテコで推しの顔うちわ(別作品のグッズ)を振ってる方がいたと。推しもそれに反応しているようだったと。推しの名前と共に呟かれたそれには@で推しがメンションされていました。

実際に私はその場にいなかったから,推しがどう反応していた/していなかったのかは分からないです。推しの意味深な呟きがこのことを指していない可能性だってある。でも"あなたのファンの中にはこういうファンがいて,不快に思いました"ということが推しに直接伝わってしまったことがとても悲しくて辛かった。推しが好きなら,応援しているのなら,迷惑かけたり悲しませたりする行動しないで………………)


ただ東京に行かない現場に行かないと金が貯まるのが目に見えて分かりました。お年玉(まだ貰っとるんか)も生活費も手に付けず,3つ掛け持ちしてる内の1つのバイト代のみでまかなえてしまった。えっ…1度もお金下ろしてない……

でも金があっても現場に行けないことが辛かった反動で,3月と5月の舞台のチケットを申し込んでしまいました(※東京公演)。就活被りませんように。



◎その他

1)年明け小中の同級生との飲み会。オープンなオタクなのでみんな私に推しがいることを知っています。恋人がいる彼女たちから「そろそろ現実を見ろ」と言われるのでは…と危惧していたらみんな独り身になってた。あれ……?


2)実家で眠っていたJUNONをパラパラしてると推しが過去のJSBコンテストに出ていたことを知り驚愕する。同じページにいるのは佐野勇人くんや財木さん,観修寺玲旺くん,そして犬飼貴丈…若ッッッ! 推し(17)はベスト50まで残っていました。この頃から「俳優になりたい」「洋服も好き」と言っている推し,愛しさの塊でした。

『十二人の死にたい子どもたち』


その日,12人の未成年たちが,安楽死を求め廃病院の密室に集まった。
「みんなで死ねば,怖くないから」
ところが,彼らはそこで13人目のまだ生あたたかい死体に遭遇。突然の出来事にはばまれる彼らの安楽死。あちこちに残る不自然な犯行の痕跡,次々起こる奇妙な出来事。彼らだけしか知らない計画のはず。まさかこの12人の中に殺人鬼が…?


キャストを公開せずに当てさせたり,「死にたい」と連呼する思わず引き込まれる予告だったり,多くの人に観たい…! と思わせる宣伝は凄く印象的で好きでした。リア友も皆観たいと言ってた。私も一刻も早く,ネタバレを踏む前に観たいという一心で公開2日目に観てきました。



40分の長回し…台本12ページ… 今をときめく彼ら彼女らが集まってこの作品が出来たことは本当に凄いことだなぁと。監督は若さゆえの危うさが良い形で撮れたとコメントしてるけど,観てるこっちも思わず緊張してしまった。十二人それぞれの名前と死にたい理由を知った上で観た方がより理解しやすかったかも…とも思いました。この二字熟語,映画観た後でみると何か違和感もあるけど…












※以下とってもネタバレを含みます。











観た人にしか分からんやつなのだけど,アンリ(杉咲花)の「おまたせ」は不気味だけど惹かれてしまう,たった一言なのに目が離せなくなる破壊力がすごかった…杉咲花ちゃんは強い意志があったりそれを持つに至った特異な(負の)経緯があるキャラクターを演じるのがすごく上手いと思います。『無限の住人』の凛が大好きなのだけど今回のアンリも良かったなぁ…

(私は花ちゃんの強い目と大きな耳が大好きなので,黒髪ロングぱっつん横髪ありは本当に彼女の外見の魅力が最大限に発揮されてると思いました…ありがとうございます…)



シンジロウ…というかまっけんは何であんなに役の幅が広いんだろう。億泰と同一人物とは思えない。映画『ちはやふる』で配役発表された時,まっけんが??新???となったけど見事に新だったし…あんなに容姿がキラキラしてるのに,暗かったり地味だったりなキャラクターになれるの,その演技力に脱帽。終盤のシンジロウの,「もうすぐ僕は自分の意思で何もできなくなる」という言葉が,絶望も希望も伴った感情が見えてすごく印象的でした。映画が始まる前,怖かったら手握っていい…? と友達に聞いてた前の座席の女の子はまっけんの演技に泣かされてた。

まっけんと言えば以前トーク番組で,「同年代(だったはず…)で共演したい人は? 刺激を受ける人は?」というニュアンスの質問に対して,「特にいません。でも唯一,杉咲花さんと共演してみたい。」と言ってたのを思い出しました。あの時はまだ今作が決まってなかったのかな。聞く人によっては生意気だな〜とか思われそうな発言だったけど,自分に対する自信と,役者という仕事への誠意が感じられて私は好きでした。そんな彼が唯一,共演したいと名前を挙げたのが花ちゃんだったのもまた杉咲花の凄みを感じてたから,今回のような作品での共演が叶って本当に良かったな。まっけんも花ちゃんも匠海も,よく刺激を受ける人物として同世代の役者から名前が出るけど,そんな彼らがこのタイミングで共演してくれてすごく嬉しく思います。



ノブオ(北村匠海)に関してはもう,リョウコ(橋本環奈)の顔を見たときの「びっくりするくらい可愛いね」に(うっうわ〜〜〜〜! )となってしまった……(ストーリーに集中したいのに"北村匠海が好き"という気持ちが勝ってしまう瞬間が時々ありますが,今回も例に漏れず…)でもシリアスな状況の中でこの台詞をノブオに言わせたのは天才の所業…ドキもキュンも無いと思ってたのにこんな所でドキドキさせられて悔しい…制作側にそんな意図ないだろうけど………

匠海は絶望や敗北の,負の感情とか体験を滲み出してくるなぁと。初めはそれが何かは分からないけど,何かがあったのだと思わせるのが上手い。画策している時もラストの表情もどれも好きでした。これまでも今回も,良い作品やキャラクターに恵まれているのは匠海の才能と努力の賜物なんだろうな……贔屓目じゃなくそう思います。



私はキャスト発表時(というか1番は真宙くんでしか無かったけど),この映画の主人公はサトシ(高杉真宙)なんだと思っていました。1番だし。フライヤーを見た時にあれ? 違うのか…と。サトシは集団安楽死の主催者なのに"死にたい"という感情があまり見えなくて,それがまた不気味で。真宙くんの『散歩する侵略者』の天野のようなサイコパス要素のあるキャラクターの演技が好きです。似合う。サトシも彼には一体どんな経緯が…? と思っていたので,ラストにはすごく納得しました。サトシは今後どうなるんだろうな…



プリンシパル組だ〜と思ってたメイコ(黒島結菜)の,醸し出る学級委員長感は『ごめんね青春!』を思い出しました。セイゴ(坂東龍汰)と2人で会話するシーンはこっちの胃がキリキリした。利己主義で気が強くて,自分の考えを疑うことなく口走ってしまう。メイコがどうしてこんな人間になってしまったのか,その経緯と死にたい理由をもっと深く知りたかったなぁと。

十二人それぞれに死にたい理由があるけれど,ミツエ(古川琴音)の言葉にグサッときた人も多いんじゃないのかな。彼女は大好きなバンドマンが自殺してしまい,後を追うために自らも死を選択して集った人。でもリョウコの正体が人気女優だと分かると,絶対に死んではダメだと,後を追う人がたくさんいる,あなたの命を他の人の命と同じと考えないで…と必死に説得する。

命は全て平等だと道徳の授業とかで教えられるじゃないですか。ミツエはこれと全く逆のことを言ってたけど,それも間違ってないよなぁと思います。ミツエにとっては何よりも彼が大切で,生きていて欲しくて,彼のいなくなった世界に自分がいる意味なんてないと本気で思っていたんだろうなぁ…リョウコ側からすると良い迷惑なのだろうけど。

あとケンイチ(渕野右登)がミツエに対して「そんなに好きになれるものがあってすごいよね!」と何度も言うけど,私の心の中は(おま……しつこいわ!)でした(笑) 監督から「空気を読まない芝居がこんなにうまい人もいない」とコメントを寄せられているのも納得の演技。



私と北村匠海の出会いはRADWIMPSの「携帯電話」のMVで,あの時は同い年だなんて考えられなかったけど,今はもっとそう思う。吉川愛ちゃんはみるくちゃんだし,Wikiったら萩原利久くんは『11人もいる!』に出てたりしてびびる。

芸歴の長い方もいれば,これからさらに活躍していくだろう方もいて,今をときめく実力派から初見まで若手が揃っていて見応えがありました。過去の回想も役者をほとんど映さなかったり,本人の口でしか語られなかったりしたのも新鮮でした。徹底した子どもたちの密室で,最後まで大人が画として現れないのだなぁと。序盤から登場する母子の像,初めはそれが母親と子どもだと気付けなくて,何か意味があるのか…と思っていたけれど,途中でそれだと気付いてゾクッとしました。命をくれた親が死にたい理由になることもある…



全てが謎の"13人目の死体"に対して,徐々に真実が明らかになる,各所に伏線が秘められている,という展開がすごく楽しめました。堤幸彦さんの作品はゾクゾクする楽しさがあって好き…今作もまた然り。

ただ観る前は雨の日に観たくなるような作品なのかなと思っていたけれど,全く逆の,青空が綺麗な日に観たい作品でした。映画館から外に出て空を見上げると綺麗な青空で,何だか心がスッとしたからかもしれません。作中で何度か登場する空は天気の移り変わりが激しくて,でもラストの空は本当に綺麗でした。天気の良い日にまた観たい。

『チワワちゃん』


その日、東京湾バラバラ殺人事件の被害者の身元が判明した。千脇良子・20歳・看護学校生。ミキはそれが、自分の知っている“チワワちゃん”のことだとは思わなかった。


冒頭から響く大音量のEDM。ジェットコースターみたいな疾走感。自分とは真反対の世界に生きている同世代の彼ら彼女ら。全てが眩しくて刹那的で,無敵に見えました。



原作は1990年代に発表された岡崎京子さんの短編「チワワちゃん」。グループのマスコット的存在だった"チワワちゃん(吉田志織)"が,バラバラ遺体となって発見されたことから物語は始まります。追悼記事を書きたいから,と知っていることを教えて欲しいと頼まれた主人公ミキ(門脇麦)は,仲間たちにチワワとの思い出を聞きに行く。しかし残された仲間たちがそれぞれチワワとの思い出を語るうち,誰も彼女の本名や本性を知らないまま一緒にバカ騒ぎをしたり,恋愛をしたり憎んだり,キスしたりセックスしたりしていたことが明らかになっていく。








※以下ネタバレを含みます。









劇中最も心がぎゅーーーっとなってしまったのは,ナガイくん(村上虹郎)がチワワが起用された巨大広告を持ち帰り,床に広げた大きなチワワの上で幸せそうに笑うシーン。毎日どんな気持ちで街にいるチワワを見上げてたんだろ。そんな運良く貰えることなんかあるんか(笑) でも大きなチワワの上で寝転がるナガイくんは本当に可愛くて無邪気で,見ていて辛かった。
チワワが泳げないことを知っていてなのかは分からないけど,プールへ飛び込んだチワワの元へすぐに助けに行くナガイくんもカッコよかったな。虹郎が演じている贔屓目もあるかもしれないけど,私が「チワワちゃん」のこの世界にいたらナガイくんに恋するんだろうな…チワワを想うナガイくんに。


ナガイくんは映像作品を撮るためにいつもビデオカメラを持っているのだけど,彼はファインダー越しのチワワに恋したらしい。確かにそれだと思わせるシーンのナガイくんは本当に可愛くて。恋に落ちる瞬間の人の表情はなんて素敵なのかと,虹郎の演技力に敬服しました。純真さも憤りも,ナガイくんの青春の一部分を見せてくれて本当にありがとう。


寛一郎くんの存在感もすごかった。実力派で個性の塊の役者陣の中でも随一。チワワやヨシダくん(成田凌)と同じグループに属してはいるけど,どこか達観していて,先に大人になってしまったようなミキと,1番近いのはカツオくん(寛一郎)だったんじゃないかなと思いました。憤るナガイくんをなだめる様も,チワワとの会話も,カツオくんの好感の持てる"少し冷めてる感"が素敵だった。ミキはなんでヨシダくんに惹かれたんだろ……成田凌は色んな役やっててすごいな〜と思うけどやっぱクズでどうしようもない男が1番似合う。チワワはとっても可愛いけど,怖すぎるほど明るくて,いつも何考えてるか分からないような女がミキの好きな人も個性や居場所さえも奪ってく様はえげつなかった。ミキに幸あれ。



クラブやプールで遊んでるシーンはキラキラしてて華やかだったけど,撮影は大変そうだな〜どこまでアドリブなのかな〜と思ったら,ト書き1行で丸一日遊んだりしたとのこと…すごいな(笑) 女の子たちは水着や下着でいるシーンも多かったけど,よくこんな被らない系統で集められたな〜というぐらいみんなそれぞれに魅力的で眼福でした。ユミ(玉城ティナ)とチワワのプールでのキスシーンも目が離せなかった。


登場人物が目まぐるしく増えていくテンポ感は危うく置いて行かれそうになったので,原作や相関図見てから臨んでも良かったかな… ヘルタースケルターもリバエも先に映画を観て,今も原作を読んでいないまま。原作の「チワワちゃん」は1994年に発表されたものだから,映画にあるインスタとかはまだ無いわけで。でも青春のキラキラも痛さも始まりも終わりも,それ自体はずっと,何も変わらないままなんじゃないのかなと。これを機に岡崎京子作品に手をつけたい!


600万盗んで夜の街を全力疾走。クラブで飲んで踊ってのお祭り騒ぎ。どれも私のそれとは全く交わらないのに,過ぎてしまいつつある青春をちょっと懐かしく思いました。私は今ちょうどミキたちと同年代だけど,もっと大人になってから観るとまた違う気持ちになるのかもしれない。それなら今,同年代の今観れてラッキーでした。何年後かにまた観たいな。




あと虹郎にあの帽子被せてカメラ持たせてタバコ吸わせたのは大正解なので「チワワちゃん」には死ぬまで感謝,死んでも感謝します。ありがとうございました……