映画と現場 備忘録

しゅ〜かつの逃げ場

『りさ子のガチ恋♡俳優沼』



演劇業界の闇に切り込む、
見て見ぬふりをしたかった愛憎劇


……いや闇に切り込みすぎじゃ…?
初演で話題になった時も思ったけど、このテーマで舞台にする、若俳を起用するチャレンジ精神がまずやばい。


(翔太くん役の柏木さん、この再演前に彼女の匂わせでボヤって、最強の役作りって言われてたのウケます(真顔))




以下感想、超ネタバレを含みます。
これから観劇される方は気をつけて!




(初演時に見かけた有名ブログ、どちゃくそおもろいので未読の方はぜひ読んでみて下さい)




主人公のりさ子は26歳のOL。趣味は舞台鑑賞。
大好きなイケメン俳優・翔太くんを追いかける日々で、彼が出演中の2.5舞台『政権☆伝説』(伝ステ)に通う。
(最前席全通)(ただしセンターではない)
グッズコンプ 高額プレゼント
頑張ってる姿を観られるだけで幸せ そう思いつつも…
がザックリした状況説明。




始まりは舞台『政権☆伝説』の千秋楽。
2.5キャラの殺陣とカテコ(若俳のわちゃわちゃの再現率)(ちなみに日替わりらしい)に、あれ何の舞台観にきた…? と戸惑う初演時レポの記憶がない私。


物語は客席から始まるんだった。


前方端で開演前からちょっと騒いでる人たちいるな〜と思ってたらりさ子たち。同じ客席で観るのか…!

(いやでもりさ子、ドセンで観たかっただろうに……)




(りさ子がたまちゃん(遠征民)(岐阜というリアルさ)とありすちゃんと連番してるの、最初他担かと思ってたらまさかの同担。

え…りさ子同担と仲良くできるの…? ガチ恋なのに? そんなことある? まだ自覚無しだから?

どのファンよりもお金と時間をかけてることに自信があったんかな…その辺りはもっと詳しく知りたかったかも)




キャスト陣のお見送りハイタッチ、りさ子は翔太くんの手を握って離さない。

(りさ子ほどじゃないけど身に覚えのあるオタクの心は震えた、自戒)


その後たまちゃんありすちゃんに報告。
りさ子「あのね、勘違いかもしれないんだけど…ハイタッチの時、翔太くん、手…握ってくれたの」

(1回目のゾッとしたポイント。新垣さんの演じるりさ子、声とか喋り方含めて本当にゾワッとさせられる)




劇中何度か登場するtwitterの演出、青い鳥の仮面(?)を頭に乗せてる時が表垢(リプ垢)で、完全に被ってる時が裏垢というのが面白かった。


翔太くんがランダムでリプ返しまーす!ってなって、
りさ子は「彼女いますか!?」って聞いちゃう。

(ここはそんなオタクおる?って感じた)

翔太くんは「いません。今は仕事が大事だから」と返す。裏垢はんなわけないじゃん! と騒ぐけど、りさ子は翔太くんを信じる、と。


(あるあるなリプばかりでまたオタクは震えた。念も飛ばさないし思い出も共有してないけど、推しへのリプを公に晒されてる気分で半死)




まぁいるんですけどね……彼女………




翔太くんの彼女のるるちゃん、自分は出てない伝ステの打ち上げ集合写真にいたり、翔太くん宛のプレゼントのお菓子食べてる写真をアップしたり、翔太くんの私物のキャップ被ったり、ちょ〜〜〜〜う分かりやすい匂わせ。

(炎上してもしゃーなくない? ってぐらいるる役の方の匂わせ女ぶりが上手い、超むかついた)




るるちゃんの匂わせぶりに荒れるTL。

りさ子は「親目線だから」「見てるだけで幸せ」と言いつつ、たまちゃんにtwitterみた? と聞く。

たまちゃんは「(彼女がいて)それで翔太くんがお仕事頑張れるなら別に良くない?」のスタンス。

(オタクはたまちゃんみたいになれたら幸せなのかな、でもそう簡単にはなれないね…)




(この時りさ子たち鑑賞会してるんだけど、「ここ!!!前は涙拭ってるのに拭わないの!これ絶対わざとだと思うんだよね〜」「あっほら指!!震えてる!!!!」みたいなりさ子の視点、リアルでまたまたオタクは震えながら爆笑してた。円盤でさえ翔太くんの動きだけを目で追ってたりさ子、演技が細け〜〜)




何だかんだあって翔太くんのバーイベ。
髪切ってオシャレして挑んだりさ子に、






翔太くん「はじめまして!!!!」






凍った。
一瞬で客席が凍った。




(翔太くん、性格悪いわけでも、仕事やファンに対して真摯でないわけでもないけど、まじで要領悪すぎんか?)




呆然とし、チェキ後プレ押し付けて立ち去るりさ子。




ここからりさ子の行動がエスカレート。
翔太くんとるるちゃんを盗撮し、翔太くんと付き合ってる体の妄想ブログを立ち上げ、るるちゃんに「別れてください」と非通知で電話かける。ま〜じで怖い。




翔太くんは炎上。
でも世の匂わせ女と違い、るるちゃんはとてもたくましい匂わせ女だった。



ブログと手紙の言葉づかいを照らし合わせてりさ子の名前を知り、住所を知るために翔太くんの半裸チェキ(サイン入り)撮って譲渡流すっていう……頭良すぎて震えた。

(そんな思考回路あるなら匂わせせんといてくれ………)




りさ子宅で相対する2人。

(オタクと若俳の彼女、リアルで会ったらそりゃ後者が強いわ……)




るるちゃんに詰め寄られ、もう翔太くんの舞台を観劇しないことを誓わせられるりさ子。るるちゃんは「今まで応援ありがとうございました」とりさ子宅を去る。










暗転が長く続いた後、拘束されたるるちゃん、ナイフを向けるりさ子、立ち尽くす翔太くんの図。修羅場。ド修羅場。





るるちゃんに気が付き、名前を呼ぶ翔太くんに、「私の前で呼ばないで!!!!」と叫ぶりさ子。



(ここのりさ子の長台詞、ぜんぜん思い出せないほどの量で、本当に圧巻だったので何とかしてぜひ生で体験してほしい)






「はじめまして〜あっこれも分からないですか? いいですいいです、覚えてなくて」

「動かないで!私はこの人も、もちろんあなたのことも傷つける気なんてありません」

「彼女いないって言ったじゃん!!!!」

「もし彼女がいるって言ってくれたら、好きな人の好きな人だから、私もこの人のこと好きになれたかもしれないじゃないですか」

「あなた(るるちゃん)も隠し通すことできましたよね?」

「嘘つくなら隠し通してよ!!!!」


(いやほんまにこれ。1番共感した。本気で彼女いないなんて思ってるオタクなんかおらん。いないって言うなら隠し通してくれや…)




「私はあなたのことが好きです。翔太くんのためなら何だってできます。後はあなたが私のことを好きになってくれるだけでいい」




翔太くんは優しくりさ子ちゃん、と呼びかける。

「今君のことを初めて知れたから、僕のことも知ってほしい」

「君が僕のことを好きなことを知ったから、僕が彼女のことを好きなことも知ってほしい」




るる、と呼びかける翔太くんにりさ子は「だから呼ばないで!!!!」とまた半狂乱になる。



翔太くん「呼ぶよ!だって恋人だから!」




(辛い、りさ子に共感してるわけでもないのに本当にここは苦しかった)



翔太くんはご報告、とるるちゃんとの交際をツイート。拍手する表垢と荒れる裏垢。崩れ落ちるりさ子…………




(てかりさ子は1年半しか追ってないのにここまでやべ〜行動起こすか?と思ってた。でも実は前にも別の俳優に同じようなことしちゃってたことが分かり納得…りさ子、やっぱやべ〜女だわ)


(しかもその俳優、前作の伝ステに出てて、りさ子のせいで炎上、活休、そして次作の伝ステで復帰……ってちょっと界隈狭すぎるな? 伝ステに狂わされ、伝ステを狂わせる女、りさ子……)




解放されたるるちゃんと翔太くんがりさ子宅を後にする際、りさ子は舞台楽しみにしてます、と声をかける。それに笑ってありがとう、と翔太くん。

(この翔太くんま〜じでサイコパスだった。お前も怖い)




飾ってた翔太くんのブロマをもう要らない、と剥がすりさ子、愛はいつも私を裏切る、と呟く。




翔太くんの炎上の他にも何だかんだあり、伝ステ次作は(おそらく)無きものになるのだけど、他の俳優事情はめんどいので割愛しますごめんなさい。キャストかっこいいし梅田さん(伝ステヒロイン)も可愛いよ!




終演、カテコに新垣さんは登場せず。
このまま終わるのかな…と思ったけれど、この物語は客席から始まり、客席で終わるんでした。


出待ちするりさ子の前に翔太くん……ではなく若俳が。佑介くん、尊い、と呟き客席に降りてはけるりさ子。
本当の終演。


(2度もこんなことになったらもう若俳推すの無理では? と思ったけど…りさ子………そのメンタルあればもう何でもできるよ)(名前が佑介くんなのには震えながら笑った)(てか柏木さんのオタクどんな気持ちでこの舞台観てたん?)




翔太くんが「はじめまして!」でなく、「来てくれてありがとう!」と言えてたら、るるちゃんの匂わせがあってもりさ子は翔太くんのこと好きでいられたんだろうな、てか接触の度にこの舞台思い出しそうで嫌だな(笑)




りさ子の幸せ…というか安全なオタ活を願いつつ、ただし一生同担にはなりたくないなと切に思う。あと推しにも一生このお話を知らないでいてほしい(笑)




あるあるなオタクの言動や考え方に分かる〜〜な所も、まっっったく共感できないけど辛い所も、総じて見応えがありました。新垣さんの演技力、初演時から話題だったけど本当にすごかった。再演で観ることができて良かったです。推しが映像俳優やアイドルのオタク、男オタと女オタ、色々思うことが変わると思うので感想漁るのが楽しみです。